キャッシュレス・ビジョンの裏:経済産業省のミッション考察

キャッシュレス・ビジョンの裏:経済産業省のミッション考察

PayPay、LINE Pay、楽天ペイ…
キャッシュレス決済が当たり前になってきたね。
便利ではあるけど…

いまだ活気づくキャッシュレス決済の流れ。
2018年10月からPayPayが台頭し、100億円規模の還元策を打ち出したのは
記憶に新しいですね。

「バラマキ企画」とも揶揄されたPayPayキャンペーンですが、他の
キャッシュレス決済事業者も少なからぬ金額をかけてキャッシュレスを
推進しています。

消費者的にはラッキーだね!得したね!で終わるかもしれませんし
事業者側としても導入の手間がかかる一方でメリットがあるのも確かです。

が、あらためて考えてみましょう。
PayPayを始め、キャッシュレス事業者が多額の投資に踏み切った理由は何か?
一体キャッシュレス決済推進の本当の意図はどこなのか?
キャッシュレス決済を推進することで誰が一番得をしているのか?

え、キャッシュレス決済推進の
本当の意図って…
また深読みしちゃうの?

こんにちは
ミッション発信コンサルタント兼ライターの多田百合惠です。

今回は、PayPayキャンペーンなどキャッシュレス決済推進の流れを通じて
見えにくい経済産業省のミッションを推察してみたいと思います。

キャッシュレス決済の新しい一面を知りたい方は
ぜひお読み頂けたらうれしいです。

1 キャッシュレス・ビジョンとポイント還元事業

1.1 経済産業省が打ち出したキャッシュレス・ビジョン

まずキャッシュレス決済推進は経済産業省が打ち出している方向性です。

PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、メルペイなど…混乱している方も多いのでは?

2017年3月から経済産業省内ではキャッシュレスに目を向けられており
2018年4月には「キャッシュレス・ビジョン」を打ち出しました。

詳しくは上記リンクの要約を見て頂ければと思いますが、抜粋すると

アジア諸国のキャッシュレス決済比率(韓国89.1%、他先進国40~60%)に比べ、日本(18.4%)は取り残されている
日本における現金主義、治安の良さ、キャッシュフローの問題がボトルネック
2015年の大阪・関西万博に向けてまずは40%、将来的に80%越えを目指す

2018年4月経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(要約版)」より抜粋・要約

キャッシュレス決済を推進するために国としても施策を打つし
予算も投じていくことが示されています。
経済産業省の平成31年度予算のポイントを見る限り、消費税率引き上げに伴う
対策としての「消費者へのポイント還元支援」(2798億円)になります。

2798億円。とんでもない額だよね。
まあ10%に消費税増税されたから一時的に対処ってことか

消費税増税の対策の面がないとは言いませんが、
そこだけにフォーカスするとキャッシュレス決済推進の本質を見失います

キャッシュレス・ビジョンは「ビジョンというよりただの計画目標であり
ミッションを意図して隠している印象」すら正直持ちますね。

裏側には別のミッション、そしてビジョンがあると私は推察しています。

キャッシュレス・ビジョンはビジョンじゃない…?
裏側には本当のミッションがある??

そもそもビジョンって何だった?と言う定義はこちらの記事を
見て頂くといいかもしれません。

ビジョンについて知りたい方は目次から。ミッションも合わせての復習がオススメ。

1.2 キャッシュレス決済推進の実行者と決定者

キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)
ページを下に見ていくと、

経済産業省により採択され、当省監督のもと
一般社団法人キャッシュレス推進協議会が事務局業務を運用しています

とありますね。

キャッシュレス推進協議会 は経済産業省がキャッシュレス・ビジョンを
打ち出した後、 内閣官房日本経済再生総合事務局の未来投資戦略2018で
設立が宣言されました。

協議会の理事および幹事の顔ぶれを見ると、国がいかに力を入れているか
よくわかります。
そのなかで注目したいのが、一般社団法人Fintech協会の存在です。

金融(Finance)と情報技術(IT)はもはや切り離せない時代となっている

Fintech協会のミッションは

国内外の関連諸団体、関係省庁等との情報交換や連携・協力、活動を
通じて、オープンイノベーションを促進させ、新たなFintechサービスが
生まれやすい環境を整え、健全な業界の発展とFintechエコシステムの
活性化、および世界の金融IT業界における日本のプレゼンス向上に
貢献することをミッションとしています

一般社団法人Fintech協会の協会概要より抜粋

よくわからないのだけど…そもそもFintechって何?

日本銀行の公表資料によりますと

FinTech(フィンテック)とは、
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、
金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き

日本銀行「教えて!にちぎん」より

ですね。そう、当たり前のようですが、キャッシュレス決済には
情報技術(IT)が必須要件です。
現金の流れをITで管理出来る仕組みが、キャッシュレスとも言い換えられます。

誰がいつどこでいくらお金を使ったのか、個人の居場所も含めてデータになる

キャッシュレス・ビジョンに今一度立ち返ってみると
キャッシュレス検討会の委員とオブザーバー構成の中にもFintechの関係が
3人もいらっしゃいます。

あと、調査会社のインテージやNTTデータ経営研究所が名を連ねているところも
目にとまります。

え、どういうこと?キャッシュレス推進のために
色々調査をするから必要なメンバーなのじゃないのかな

もちろんキャッシュレス推進の調査やマーケティングのために必要な
メンバーでもあると思います。しかし、私が思うのは、キャッシュレスが
広まった先の未来に彼らがどう関わるか
なのです。

2 キャッシュレス推進の裏にあるミッション推察

2.1 キャッシュレス推進をして得られるもの

キャッシュレス推進が進み、国民の40%、最終的には80%が
キャッシュレス決済をするようになる未来を考えてみましょう。

例えば、旅行好きでグルメなAさん(45歳・経営者・男)が
旅先で美味しいものを食べ歩き、お土産を買って、帰ったとします。
全てキャッシュレスで支払いました。

すると、
××年××月××日××時××分 Aさんが○○店で飲食
飲食内容 ●●●● 金額 ▲▲▲▲円

といった記録がすべて、残るわけです。電子上に。
グルメなAさんのお眼鏡にかなったメニューが全部分かります。

××年××月××日××時××分 Aさんが○○店で物品購入
購入内容 ●●●● 金額 ▲▲▲▲円

も残りますね。
購入内容がきちんと精査されたら経費のごまかしもできなくなります。

うわあ…確かにそうだね。
キャッシュレス決済で購入履歴が全部残るわけか

キャッシュレス決済を利用する方々の購入履歴が全部
毎日毎日、膨大な数のデータとして記録されていきます。

国民の膨大なデータを集めること、
そしてデータの精度を高め活用できる環境を整えること

それがキャッシュレス決済を推進する経済産業省、そして関わるメンバーの
ミッションだと推察するのです。

2.2 AIによるビッグデータ利活用への国策

いわゆるビッグデータ活用か。
確かに情報は資産だものね…

平成31年度の経済産業省予算のポイントを今一度見ると
「個別戦略分野におけるイノベーションの推進」として190億が
振り分けられています。 AIシステム開発もこの領域です。

ビッグデータはあまりに膨大ですから人の手だけの活用は困難でした。
でもAIの発達により、データを分析し、活用することがどんどん
可能になってきています。

AIの活用は未来の物語ではなく、すでに現実世界に入り込んでいる。

膨大なデータが分析でき、活用できるならどうなるのか?

新しい需要の発掘、適切な価格決め、消費者動向の計測と予測など
活用できる情報が揃っていく環境を国が用意していくわけです。
今後大企業はビッグデータ活用に積極的になっていくと思われますし
活用できるところとそうでないところの差が開きそうですね。

この流れはおそらく続いていくことでしょう。
内閣府が「Society5.0」という科学技術政策の未来を打ち出しています。
日本という国のビジョンのひとつですね。

こちらの動画がイメージとしては一番分かりやすいと思います。
政府広報にも掲載されている動画です。

AIでビッグデータが活用される未来か…
そこまで考えたことがなかったな

この機会にぜひ考えてみましょうか。
消費者も事業者も、誰一人無縁ではいられないですから。

Society5.0の未来をもっと学んでみたい方はぜひこちらの書籍
おすすめです。

3 まとめ

それでは、まとめといたしましょう。

  • キャッシュレス決済推進は経済産業省を中心としており、ITと密接である
  • キャッシュレス決済推進は、ビッグデータを集められる環境整備が本来のミッションであり、Society5.0が本当のビジョンではないか

なるほどね~
全部に納得はまだできないけど、
一理ある気がするよ

そうですね、ぜひ鵜呑みにせずに、考えとして取り入れ
ご自身で情報を検証していくといいと思います。

ぜひ今回の記事でご紹介した考え方も視野に入れつつ、キャッシュレス決済を
それぞれの立場から体感し、検証してみてくださいね。

お読み頂き、ありがとうございました!

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